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あしあとをよむ

植物、物語、音楽あたりが好きです。だらだらと更新中。

追悼 水木しげる 「のんのんばあとオレ」

10年前に母が亡くなった。


その頃は本当にいろいろなことがたて続けにおこり、正直記憶がとびとびでぼんやりとしている。
とにかく毎日心も身体も忙しく疲れてたけど眠れなかった。感情がなくなりかけていて、笑っても泣いても同じなんで笑っていよう、はははと変なテンションだった。
そんな中、どうしても観たいと思って
この展覧会にひとり出かけた。もうすぐ母が亡くなると言われた時かな…。
 
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会場はどこかユーモラスな妖怪がたくさんいて
なんだか自由で優しい光に包まれていた。
その中に「のんのんばあとオレ
という作品の原稿が飾ってあった。
 
のんのんばあというのは水木さんの
子守のような存在のおばあさん。
実在の人物だ。
しげる少年は初恋の人千草を結核でなくす。
少年時代の淡い淡い初恋だが、千草が亡くなったことにより今まで感じたことのない感情を体験する。悲しみをこえた虚無、のようなもの。
 
なーんもする気が起きんのだ。というしげるに
のんのんばあは言う。
 
「それはなあ 千草さんの魂がしげーさんの心に宿ったけん、心が重たくなっちょるだがね 
 少しずつゆかりの人の心に残るんだがね。身体は物を食うて大きくなるけど、人の心はなあ、いろんな魂が宿るけん成長するんだよ 
 石には石の魂があるし虫には虫の魂があるけんなあ、そげんさまざまな魂が宿ったけん、しげーさんはここまで成長したんですなあ」 
 
だからそういう重さをうけとめてゆくと魂がおおきくおおきくなる…
 
その原稿の前にどれ位いたんだろう。
ぼたぼたと涙が落ちてきた。
 
久しぶりに感情がもどってきた。
 
辛いけどもうそろそろおかあさんの魂が私の心に宿る。
きっと心が重くなる。
でもそれに耐えられる力がきっとつくから。 
 
死は人間に起こる最後のことだけど決して終わりではないこと。のんのんばあが教えてくれた。
 
おかあさんは

戒名に翠(みどり)と縁のある木の名前がついた。

草木を愛でる人だった。
 
母と暮らしていた頃は家に庭に母がお世話をしている植物がわんさかあるのが当たり前すぎてありがたみを感じなかった。当たり前すぎて自分がことさら植物が好きなんだとか感じたことがなかった。
 
でもいつもいつも植物は私を守ってくれていた。
 
今年の夏、また母が育てていたような植物を育てる人に出会えた。
そこで植物をさわるとまるで母と会話してる気がする。
 
私の人生もまた動きはじめた。
いろんなことは繋がっている。
 
水木先生の魂はすっごく大きそうだからファンみんなに宿ると信じてる。
 
素敵な作品をたくさん残してくれた大好きな人。たくさん救われました。本当にありがとう。
 
講談社漫画文庫