あしあとをよむ

あしあとをよんでおもいだす

映画 この世界の片隅に

原作が大好きで、思い入れのある作品の映画化って複雑でかなり観るのを迷う。原作の世界が少しでも壊されるとショックだから…。
でもこれは、本当に本当に本当にすごい!!!壊さないどころか素晴らしい科学反応をおこしてます。今年のベスト1とかそういうレベルではなく、もう別格、だと思う。

エンドロールの後しばらく言葉が出てこなくなる…。片渕監督は原作をどれほど読み込んだのか、どれほど現地にいかれ、取材したのか。
その熱量があの消えた街を、このすずさんという女性を、たしかに存在していたのだと信じさせる。
それからなにが素晴らしいってまぁこれは原作もなんだけどところどころすごく笑える話ってこと。戦争という大きなストーリーに世界の片隅にいる人々が生き抜くことで、笑うことでその小さなストーリーが大きなストーリーに決して屈していない、むしろ凌駕してしまっているということ。ラストは本当に…。
村上春樹の壁と卵の話にも通づる。
でもあれは卵が弱い前提、
これは日常が、普通の人々の生活がいかに強いかという話。まるで毎年踏まれても踏まれても芽を出す野に咲く花のように。
毎日を大切に愛おしんで暮らしていればそれが最強の魔法になる。

原作が漫画という媒体の可能性を無限に表現したものならば、この映画はまさにアニメーションの魔法に満ちている。
ささやかな市井の人の暮らしに圧倒される。
その線、色、音、動きから。
一コマ1秒にある情報量のすごさ。
どのような表現者もこの映画鑑賞後のような
ものを目指しているのでは、と思わせる。
ただ泣かすでもなくただ笑わせるでもなく、
感動を超えてただただ圧倒されて言葉を失う…という。みんなエンドロールの後も席を立たなかった。たくさんのものが溢れてくるんだけど、どうしてもぴったりする言葉がみつからない。私は、この映画で「感動」の基準が変わってしまいました。
だいたい戦争アニメってこんな感じかな?とかトレーラーの感じを想像して観ていると、かなりガツンとやられます。
ショートタームの仮現運動とかアニメの実験的、専門的なこともあるみたいですけど、とにかく今までのどんなアニメーション、映画とも違います。
声優も主題歌も最高にマッチしています。
このような素晴らしい作品がクラウドファンデングで作られた映画というのも可能性を感じます。いろんな人の魂のカケラが入った映画だと思います。エゴなしの。
とにかくすごいです、観るべき、映画館で。
封切りと同時に古典になる作品を観られるなんてめったにないと思います。
本当に観てよかった、よかったね、とそれだけを繰り返し夫と言い合いました。

 

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この世界の片隅に トレーラー

https://youtu.be/-jBe-uHhlNs