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あしあとをよむ

植物、物語、音楽あたりが好きです。だらだらと更新中。

低空飛行の飛び方

低空飛行になる時は自分ではっきりとわかる。

鏡に映る自分を見るとなんだか分厚くみえる。

実際分厚いのではなくて、あくまでイメージとして。

まず瞳が分厚くなる。それからそれが顔に広がってきて首、鎖骨、腕、胸と全身に広がる。

まるで見えないヴェールをかむったように。ヴェールが徐々に広がっていくのを防ぐ手立てはない。いやぷよぷよした透明なゼリーといった方が近いかな。

かむっている間は外のことにあまり関心がわかないし、気がつけなくなる。だいたい2ヶ月から数ヶ月。何年かに一度。普通に仕事したり生活しているので自分しか気がつかない。今までの勘で受け答えしたりして。鬱とはちょっと違う、鬱の手前?ただ あぁ、分厚くなってきた、と自分が気がつく。

 

若い時はそれがとても辛かったのだが、そしてそれを早く抜けようと対抗して空回りしていた気がする。

しかし歳をとるにつれ、このヴェールをかむっている間の過ごし方がわかるようになってきた。

そして今回は後半かなり上手に過ごせたと思う。

 

それは意識して習慣の質をあげること。

例えば歯を磨くことに。

いつもしていることがとたんに面倒くさくなるからざっとやってしまいがち。そういうほころびがすべてを崩してしまうこともある。

いつもより丁寧に。ちょっとだけお金をかけてもよいことにする。

例えば電動歯ハブラシ 音波式を買うってのはどう。

少ない労力ですごくよく磨けてつるつるになる、それをきっかけに紅茶を丁寧にいれてみようと思う。暖かい美味しいものを胃に入れるだけで朝はほっとする。後は買ってきたものでいい。ただ一杯の飲み物でも自分が手をかけたものを身体に入れると1日自分を護ってくれる。丁寧にいれたものは尚更。

全然気負わずにひとつだけちょっとだけ片付けてみようと思う。小さなひとつのコーナーだけぴかぴかにする。

朝ごはんも省きがちになるので休日だけカラフルで美味しい朝ごはんプレートを作る。ゆっくりでいい。(あ、でも1つ1つの作業は手早く。でないと美味しくならないと思う)ご飯を作るのは比較的得意で早いタイプなのだが、この時ばかりはゆっくりやる。それをゆっくり食べる。しばらくするといろんなバリエーションが浮かんできて作ること自体が楽しみになってくる。そうしたらこっちのもの。楽しんで作ったものは護る力がとても強い。そうやって少しづつまもる力をためておくと平日も結構いいやつが作れるようになってくる。得意な事は丁寧に。苦手なことは無理はせず、適当に頼めるところは人に頼む。1日さぼってしまっても大丈夫、次の日から始める。できるだけ身体を使うこと(伸ばすこと)を心がける。顔を洗って拭くときはとってもやさしくする。鏡の中の自分を注意深くみる。だんだんと薄くなっている。ヴェールが剥がれるころになると今までより一段生活が整っているのを感じることができる。それは少なからず自分の気持ちも整えてくれる効果がある。そしてきもちが整う、というのは地味だが確実な魔法だと知るのだ。あともう少し。

 

このヴェールはもしかしてBlessing in disguiseなのかもしれない。

"Blessing in disguise。

偽装した祝福。かたちを変えた祝福一見不幸そうに見えて実は喜ばしいもの、という言い回しだよ。"

村上春樹騎士団長殺し」より。

嫌だなって思う事の半分がBlessing in disguiseだとしたらちょっと考えがかわるかも。村上さんの新刊を週末に読める幸せ。あともう少し。もちろん呪文は忘れていない。

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