あしあとをよむ

あしあとをよんでるがなんのためなのかな

What is it like to be....

わたしがわたしであるとはどのような事であるか。それは他の人には知り得ないこと。逆もまた然り。

ウムヴェルトってドイツ語でum(回りの)welt(世界)つまり環境って訳されている。犬には犬の世界(嗅覚が超鋭敏な世界?)かえるにはかえるの世界(皮膚が水分に敏感に反応する世界?)マダニってダニは視覚と聴覚が無く、かわりに嗅覚と触覚と温度感覚が優れているのだそうだ。だからマダニはじっとして高い温度のものが自分の側を通り過ぎるのを待っている。偶然にも通り過ぎたら、さっとそこまで飛び(ダニだから跳躍力も優れてるってことだ)温かい血を吸う。 

コウモリであるとはどのようなことか

コウモリであるとはどのようなことか

 

この本を読んでいる。おもしろい。コウモリであるとは、わー、こんな羽根でも結構飛べるんだでも夕方しか飛べないのはなんだかなぁとか鍾乳洞の中で逆さまになるのは最初はおもしろいと思ったけど飽きるとか、なんか虫とか食べるのは辛いけど生命維持の為に食べなきゃ!とかではもちろんない。いまあげたのは人間(わたし)がコウモリになったとしたらのあくまで仮定の気持ちである。そうではなくてコウモリの脳を持った生物がどのように世界を感じているのかである。

脳って本当に一人ひとり違っている。私は幼い頃から動物が好きで、学校でも生き物係だった。動物の感覚の方がなんかわかるというか、共感するというか。普通こうでしょ、と言われるのが怖かったし悲しかった。でも普通こうでしょと言われたことを貯めてなるほどこう感じると変だと思われないのだなと社会に適応していった感もある。

父が奇人でたくさん動物を飼っていたというのもある。ヤギとかピラニアとかもちろん犬とかも。本当に父はナチュラルな変人で拾ったカラスのヒナを手懐けて親だと思い込ませて(そういうところは天才的)本当の親が怒って怒ってうちの周りをカァカァ鳴きながら呪いのように飛び続けておばあちゃんが激怒した事など。強烈な思い出が多い。

小学2年生の時おたふくかなんかでしばらく学校を休んだ時があって久しぶりに登校するとクラスで飼っていたでっかいかえるが死んでいた。しかも死んでしばらく放って置かれたらしくドロドロになっていた。夏だった。わたしは何も考えず水槽を外まで運び(誰かが手伝ってくれた気がする)かえるを素手で取り出し埋めた。そして水槽を掃除し始めた。

臭かった、でも別に嫌悪感みたいなものはなく淡々とドロドロを掃除し始めた。何人かの男子がきったねーなとはやし立てた。女子たちもえーすごおぉいといいながら遠巻きに見ていた。うっすらと悲しいと思ったが心は凪のように穏やかだった。かえる、ゆだって暑かったね、でもドロドロだけど死んだからもういいねと思った。

鈍臭いわたしをいつも助けてくれる男の子がいてその子は休みだったのかその場にいなかった。手が臭くなって服も靴下も濡れて今日はあの子がいなくて良かった、と思った。明るくて人気者であからさまに好意を示してくるタイプでわたしが失敗するといつもすぐにどこからかきてなつこのためなら〜〜♪というオリジナルソングを歌いながら処理してくれるのだった。給食係で全員分の牛乳を落とした時も。図画の時間にバケツをぶちまけた時も。いまなら抱きついてどんなに嬉しかったか、どんなに感謝してるか語りたいのだがなにしろ小学低学年まではものすごく内気で言葉がすぐに出てこなかったのだ。なにもかにもが恥ずかしかった。集団の中にいる自分がなんだか滑稽でいつも下を向いてるか窓の外を見ていた。

なんにも求めずただいつもわたしを助けてくれたあの子。笑顔がとても素敵だった。他の男子にからかわれても堂々と好きだからと言ってくれた。ありがたくてありがたくて思い出すと涙がでる。わたしもあの子の事が好きなのだ、と思ったのはみんなから好奇の目で見られてるとき、あの子がいなくてよかった、と思った時だった。

 もしかしたらわたしの記憶違いで本当はその場にいたんだけど腐ったかえるはさすがにひくわーと思われていたのかもしれないけど。

たとえ記憶違いでも美しい記憶のほうをとっておこう。人は個体差が激しいという事をわかるきっかけを与えてくれた人だから、という事でなにがいいたいのかというとわたしは自分の感覚ってわりとズレているんだなぁと幼い頃に自覚し、まぁズレていても好んでくれる人、受容してくれる人、理解してくれる人、あとかなり近い感覚の人はいるみたいだというわりと肯定的な気持ちです。多かれ少なかれ皆あることだと思うのだけど。言葉で説明するのができなかった自分の頃を思い出すと自分を知る手がかりになるのかもと思い幼き頃のことを思い出してみるのです。うん。

いままで出会ってきたあの子の成分を含んだ人たち、本当にありがとう。今はこのキモチを伝えたいな。うまく伝えられないかもしれないけれど。


KIMOCHI 椎名林檎×向井秀徳